2026.06.15
飲食店営業許可を取得する際、多くの方が厨房設備や手洗い設備の設置基準に目を向けます。しかし、保健所による営業許可の審査では、「店舗動線」が適切であるかどうかも重要な確認ポイントとなります。
店舗動線とは、人や食材、食器などが店舗内を移動する経路のことをいいます。衛生管理の観点から、不衛生なものと衛生的なものが交差しないように配慮する必要があります。
飲食店では、仕入れた食材を保管し、下処理や調理を行い、料理を盛り付けてお客様に提供します。
また、提供後には使用済みの食器を回収し、洗浄するという作業も発生します。
このような作業の中で、食材や調理済み食品、使用済み食器などが無計画に行き交うと、衛生管理が難しくなる可能性があります。
例えば、調理前の食材を扱う場所と、調理済みの食品を扱う場所との間で不要な接触が生じないようにすることや、使用済み食器の回収・洗浄を衛生的に行えるようにすることが大切です。
そのため、飲食店の設計では、単に必要な設備を置くだけではなく、その設備をどのように使用するのかまで考えて配置することが重要になります。
仕入れた食材が、店舗内でどのように移動するのかを確認します。
例えば、「搬入 → 保管 → 下処理 → 調理 → 盛り付け → 提供」という一連の作業を無理なく行える配置になっているかを考えます。
特に、生肉や生魚などの未加熱食材を扱う場所と、調理済み食品を扱う場所との間では、不要な接触や交差をできるだけ避けられるように配慮することが大切です。
お客様が使用した食器は、客席から回収して洗浄する必要があります。
このとき、使用済み食器をどこに運び、どの場所で洗浄するのかをあらかじめ考えておくことが重要です。
例えば、使用済み食器を運ぶために、調理済み食品を頻繁に扱う場所を通過するような配置では、衛生管理が難しくなる可能性があります。
店舗が狭い場合でも、食器の回収から洗浄までの流れを確認しておきましょう。
従業員が適切なタイミングで手洗いを行えることも、衛生管理上重要です。
手洗い設備については、単に設置するだけではなく、従業員が実際の作業の中で利用しやすい位置にあるかという点も考えておく必要があります。
調理作業から手洗いまでの動きを実際にイメージしてみると、設備配置の問題に気づきやすくなります。
厨房と客席の間を従業員がどのように行き来するのかも確認しておきたいポイントです。
料理を提供するときや使用済み食器を回収するときの動きを考え、従業員が無理なく作業できる配置にしておくことが大切です。
店舗の広さや営業形態によって最適な配置は異なるため、店舗ごとに検討する必要があります。
「小さな店舗なので、動線について考える必要はない」と考える方もいるかもしれません。
しかし、むしろ小規模な店舗では、限られたスペースに冷蔵庫、シンク、調理台、作業スペースなどを配置する必要があるため、設備の位置関係が重要になります。
例えば、
・冷蔵庫から食材を取り出す
・シンクで食材を洗う
・調理台で下処理をする
・コンロで調理する
・盛り付けをする
・料理を客席へ運ぶ
・使用済み食器を回収する
・食器を洗浄する
といった一連の作業を実際にイメージしてみると、無理のある配置が見つかることがあります。
店舗が狭いからこそ、工事を始める前に設備の配置と作業の流れを確認しておくことが大切です。
飲食店の開業準備で特に注意したいのが、店舗工事を始めるタイミングです。
大阪府では、調理場の設備工事を施工する前に、図面について保健所へ相談するよう案内しています。また、大阪市も工事を始める前に設計図面などを持参し、設備が基準に適合するか食品衛生監視員に相談することを推奨しています。
工事が完了してから設備の問題が判明すると、設備の移設や追加工事が必要になる可能性があります。
そのため、内装工事に着手する前に、店舗の図面を用意して管轄の保健所へ相談することが重要です。
営業する地域や営業形態によって確認すべき事項が異なる場合もあるため、早い段階で相談しておくと安心です。
飲食店営業許可の申請では、営業施設の構造・設備を示す図面の準備や必要書類の収集、保健所への申請など、さまざまな準備が必要になります。
行政書士に相談することで、営業許可申請に必要な手続きや書類について整理し、開業までの準備を進めやすくなります。
また、工事前の段階から図面を確認しておくことで、設備の配置や店舗の使い方について、保健所へ相談すべき事項を早めに把握できる場合があります。
特に、店舗の設計や工事がこれから始まる場合には、「工事が終わってから許可申請」ではなく、「工事を始める前に許可要件を確認する」ことが重要です。
飲食店営業許可では、必要な設備を設置することだけでなく、店舗全体を衛生的に使用できるように設備の配置や作業の流れを考えることが大切です。
食材の搬入・保管・調理から料理の提供までの流れ、使用済み食器の回収・洗浄、従業員の手洗いなど、実際の営業をイメージしながら店舗の動線を確認しておきましょう。
特に、店舗工事が始まってから問題が判明すると、設備の移設や追加工事が必要になる可能性があります。
飲食店の開業を予定している場合は、工事に着手する前に図面を用意し、管轄の保健所へ相談することをおすすめします。
必要に応じて行政書士にも相談しながら準備を進めることで、営業許可取得に向けた手続きをよりスムーズに進めることができるでしょう。
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